2019-08-30

【トヨタの問題解決と大企業における新事業の落とし穴】

<前・トヨタ 木村俊一氏(現・トヨタ部品愛知共販(株)専務取締役)講演レポート>

2019年7月31日(水)に開催された、前・トヨタ 木村俊一氏(現:トヨタ部品愛知共販(株)専務取締役)が語る「トヨタの問題解決と大企業における新事業の落とし穴」講演会の概要をレポートさせていただきます。

木村氏は1985年にトヨタ自動車に入社。採用面接で入社したら何をしたいか?の問いに「風のように生きたい」と答えた木村氏は、人事担当者を苦笑させながらも採用に至った伝説を持ち、異彩を放つ人物です。

■トヨタの問題解決ステップを策定

木村氏は入社後、営業畑一筋を歩んできましたが、20年近く経った2004年、人材開発部に所属。問題解決のグローバルテキスト作成を任されました。

そこで、生み出したのが次の8ステップです。

  1. 問題を明確化する。
  2. 問題を層別し、問題点を見つける。
  3. 目標を設定する。
  4. 真因をつきとめる。現地現物となぜ5回
  5. 対策を立案する。
  6. 対策を実行する。
  7. 成果反省をする。
  8. 標準化する。

以上の中で、これぞトヨタならではと言える特徴的なものを3つ挙げました。

「1.問題を明確化する」

「2.問題を層別し、問題点を見つける」

「4.真因をつきとめる」

です。

では、「1.問題を明確化する」とはどういうことでしょうか?

黒人の公民権運動(アメリカの黒人(アフリカ系アメリカ人)が、公民権の適用と人種差別解消を求めて行った運動)を行ったアメリカのキング牧師の例で説明しましょう。

キング牧師は、ジョージアの丘で黒人の子どもと白人の子どもが手をつないでいる姿を夢見て、それをあるべき姿としました。しかし、現状では黒人差別がさまざまな場で起きています。あるべき姿と現状の差がギャップ=問題です。

しかし、いきなり選挙権を渡せ、または差別をやめろと主張してもなかなか難しい・・・。

そこで、キング牧師はある一つの問題にフォーカスしました。黒人と白人の席が分けられているレストランやバスは利用しないことを選んだのです。その問題を解決することで、最終的に公民権を勝ち取ることができました。

このように、あるべき姿と現状のギャップは大抵、どこから手をつけていいやらといった複雑で大規模なものですが、どの問題を解決すれば最終的に埋まるのかを考えることが大切なのです。膨大に存在する問題を、あえてチョイスすることが必要なのです。

次に「2.問題を層別し、問題点を見つける」とは、どういうことでしょうか?

例えば「ある男性はなぜモテないのか?」について考えてみます。

まず、問題をばらして、取り組むべき問題を見つけます。

もてない理由は、学力、不潔、体型、センス、性格、体臭…どれなのか?

次に問題を決めたら、いつ、どこで発生しているのかを突き留めることが必要です。

彼の場合、問題は「体臭」なのでは?と決め調べてみると、3日前からお風呂に入っていないことが判明したとします。

次に、その真因を突き止めます。 真因を探し出すために は、現場に出向くことも必要でしょう。

現場に行くと、彼の部屋は散らかっていた。なぜ部屋は散らかったままなのか?理由は下記が考えられました。

• 「意識」散らかっていることに気づかないのか?

• 「道具」掃除機がないのか?

• 「知識」簡単な掃除のしかたを知らないのか?

• 「環境」一人暮らしでほとんど人が来ないのか?

• 「時間」掃除する時間がないのか?

このように、トヨタの問題解決のポイントは、次のものづくりの考え方に基づきます。

すべてはつくられている。

つくられているものにはプロセスがある。

プロセスには現場がある。問題も現場にある。

プロセスを直せば、正しい結果はでる。

正しいプロセスは次の改善のベースになる。

■新事業を成功に導くためには

次に、木村氏が手掛けた新規事業についてお話しいただきました。

彼は、2011年 バリューチェーン事業部に配属になり、そこで、カー用品通販事業を立ち上げましたが、事業は5年で終了してしまいました。

大企業における新事業の難しさを実感した時でした。

そこで、なぜうまくいかなかったのか振り返ってみました。

・事業を立ち上げた経験がない。あるのは既存事業を改善した経験のみ。

・経験不足でわからないことが、大きく分けて3つあった。

  • 時間軸:事業が中長期的にどう変わっていくのか?
  • 空間軸:事業の全体像
  • 人間軸:人のコストの使い分け感覚がない

そして、新事業責任者として最も欠落していたのは「志」と「リアリティ」だったと言います。木村氏はこの経験から、今後、新事業を立ち上げるチャンスがあったら、次のことを大切にして挑戦したいと決めています。

1.現場に出て考える 2. 高い志を持つ 3. いきなり大勝負はせず、小さな成功をつかむ 4.しっかり銭勘定した成功確率 7割の事業計画をつくる 5.自分で汗をかく 6.成功するまであきらめない 7. 自分を背水の陣におく

日本が誇るトヨタが世界のトヨタに成り得たのは、徹底した「問題解決」。そしてあのトヨタでも成し得ることができなかった、ある「新事業」。木村氏が語ってくれた言葉を大いに糧にして、あなたの事業を成功に近づけてください。

ライター 伊東りり子

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