2018-11-23

発達障害を、個性に、強みに生きてきた chapter2

第二回目

第一回目

 

先生を泣かしてしまう、できる子

 

 

2歳になったころ近所に、待ちに待った図書館がOPENした。

早速、友香里は母に連れられ、嬉々として出かけて行った。

 

扉が開くと、真新しい本たちがぎっしり並んでいる。

友香里は思った。

 

ここにある全ての本、いや、世界中の本を読みたい。

 

以来、暇さえあれば本を借り、母に読み聞かせてもらう。

すると、瞬く間に平仮名が読めるようになった。

 

友香里は、家にある本を見つけては読み始め、
次第に、国旗の本や百人一首、百科事典まで解読するようになっていった。

 

子どもにしては妙に知識が豊富で、
そのへんの大人より教養度が高い、扱いづらい子になっていったのだ。

 

 

やがて幼稚園に入ると、いろいろと問題を起こした。

例えば、「国旗を描きましょう」という授業があった。

一枚は日本の国旗を描き、もう一枚は好きな外国の国旗を描くというもの。

 

友香里は、大好きだったドミニカ国の国旗を描こうと思いついた。

 

さて、どんな国旗だったっけ?

 

すると、前日に言ってくれれば家にあった国旗の本を持ってきたのに、
と、もやもやした想いがわき上がってきた。

 

仕方なく先生に聞くと、象徴である鳥の絵を描いてくれた。

それはまったくと言っていいほど別の姿をしている。

 

友香里の怒りはとうとう沸点に達した。

 

「先生に教養がないからドミニカ国の国旗を知らないんでしょ!」

 

激高しながら責めまくる。

 

自分の思い通りにならないと、

怒ったり泣いたりして想いをぶつけまくってしまうのだ。

 

その日の夜、友香里は母から叱られた。

 

「幼稚園から電話があったわよ。先生をいじめたんですって?」

「いじめたんじゃない、事実を事実として言っただけ!」

 

友香里は、頑として曲げなかった。

 

 

友香里は頭が悪いわけではない。

むしろ、良すぎてしまうゆえのトラブルが多発する。

先生も自信を喪失したのだろう。

 

1年で辞めてしまった。

 

今、思い返せば、ずいぶん、かわいそうなことをしてしまった、

と友香里は苦笑する。

 

結局、若い先生では友香里を扱えないとなったらしく、

80歳くらいの理事長先生付になり、卒業まで時々一対一で授業を受けた。

 

この幼稚園では前例のない出来事だった。

 

そんな幼稚園生活も終わりに近づいたころ、

友香里は両親に私立の小学校を受験したいと言い出した。

 

なぜなら今、通っているのどかな田舎町に立つ幼稚園の世界は

とても狭い空間なのでは?と考えていたからだ。

 

「自分にはもっと可能性や才能があるはず。

なのに、この環境では開花されないのでは?」

 

そう思うきっかけは、同じ年の見知らぬ子が書いた童話が出版された、

というニュースだった。

 

友香里は、早速彼の本を読んでみて思った。

 

「私の方が物語の構成力はあるし面白い。

なぜ、この子が本を出版できて、私はできないのだろう?」

 

答えは出た。

 

それは、環境の違い・・・?

 

「私の両親の周囲には、出版業界の人はいない。

でも、あの子の親の周囲にはいた。それだけの違いなのでは?」

 

友香里は、やりたいことがすぐにできる環境を手に入れたいと思った。

 

そこで、幼稚園生活が終わるころ、私立小学校を受験したいと親に頼んだ。

 

私立の小学校に進学すれば、これまで知らなかった世界の人とも接点を持ち、もっと欲求を満たしやすい環境を手に入れられるのではないかと考えたのだ。

 

もっとやりたいことが叶えられる世界に行きたい。

 

ほしいものは絶対手に入れなければ気が済まない。

 

発達障害の症状の一つだ。

 

 

「世の中は平等ではなく努力ではどうにかならないものもある、

と感じていたのですね(笑)」

と友香里は振り返る。

 

幼稚園生にして、世の中を達観したような考えを抱いていたのだろうか?

 

大人になると、たやすく自分の夢を手に入れる人と、

どんなに努力してもなお、手に入れられない人は確かにいる。

 

それは往々にして、生まれ持った環境も大きく影響しているのは否めない。

 

続く

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