2018-10-19

OLから女優に転身で壁超え! chapter 3

上西 麻世さん(50代女性)

ハワイアンロミロミサロン「La・Mayo Style Ginza」代表・セラピスト、「ホリスティックALOHAスクール」校長。

和歌山県熊野古道出身。幼少期から事実上、シングルマザーの娘として育ち、21歳のとき、OLから芝居の世界に転身。某有名俳優の付き人、劇団員を経て、NHKの俳優マネージメント部門に所属。大河ドラマ、朝ドラなど数々のドラマに出演。40代半ばに、人を癒したいと「ハワイアンロミロミ」の資格を取得し銀座にサロンを開業。セラピスト、インストラクター、外部講師、サロン経営者など、多彩な顔を持ち活躍中。

La・Mayo Style Ginza ハワイアンロミロミ

https://www.aloha-field.com/

 

<仕事編>

第一回

第二の壁はペルソナの私。

 

女手ひとりで私を育ててくれた母。

父に傷つけられてきた母。

 

そんな母を悲しませたくない。心配させたくない。

だから、私は優秀な子でなければいけない。

泣いちゃいけない。

愚痴をこぼしちゃいけない。

聞き分けのいい子でなければいけない。

 

いつしか私は、仮面をかぶるようになっていました。

 

自分で自分を閉じ込めるペルソナの人生。

 

でも、やがて、無意識にペルソナという壁を超える道を歩んでいました。

 

 

大物俳優との出会いは突然やってきた!

麻世が高校卒業後、初めて就職した先は大阪の某大手百貨店であった。

そこを選んだのは、男女平等色が強かったからだ。

 

麻世が就職する前の年の1981年、その百貨店は一部上場企業で初めて、

女性を幹部(常務取締役)に抜擢していた。

 

彼女の名は石原○子。

麻世は密かな野望を抱いた。第二の石原○子さんになろう。

しかし、入社してすぐに寮の先輩から耳打ちされた。

 

「出世コースに乗れる営業部に配属になったら遊ぶ暇なんかないよ」

 

その言葉でコロッと気持ちが変わった。

事務職を希望したが、結局、一番忙しいクレジットカード担当の経理部に配属された。

 

忙しいOL生活に慣れた入社2年半たったころ、麻世に変化が訪れた。

この仕事は私でなくてもできるのでは?

転職を考え始めたのだ。

 

とは言え、企業は新卒の社員に教育費を投資して育ててくれている。

それを無碍にするのは申し訳ない、では3年勤めればお返しできるはず。

それまでは頑張ろう。

その後も何度も思いを巡らせた。

なんでもいいから、私しかできないことをやりたい。

オンリーワンの仕事をしたい。

 

ある休日の夜、好きなテレビドラマを観ながら寛いでいた。

登場する俳優たちの演技を観察するのが好きだ。

この日も大好きな女優の演技を眺めるうち、ふと思った。

 

この位の演技なら私でもできるかも。

そうだ、劇団に入って女優になろう。

 

思ったらすぐに行動しなければ気がすまないのが性分だ。

それからというもの、相手かまわず周囲に「女優になりたい」と話した。

 

秋風が舞い、薄手のコートを羽織るようになった10月末のことだった。

麻世は友人と行きつけのスナックに飲みにいった。

 

カウンターに座り、とりあえずのビールを一口飲んで落ち着くと、麻世はママに話しかけた。

 

「ママ、私さ、女優になりたいんだ、どうすればいいと思う?」

「あら?私、俳優さんたくさん知っているわよ。そういうコネを使ったほうがいいんじゃない?紹介してあげようか?」

「えっ?誰を?」

「う~ん。俳優のSさんは?」

「あの大物俳優のSさん?ママ、知っているの?」

「以前、おでん屋をやっていたときに、ひいきにしてくれていたのよ。電話しておくね」

 

数日後、ママから電話があった。

Sさんは今、大阪の舞台に来ているからすぐに会えるよ、土曜日の13時にNホテルのロビーで待ち合わせをしたから。

 

麻世は、約束の日までの数日間、そわそわと落ち着かず、仕事にも身が入らなかった。

やっとその日が来ると、嬉々としてNホテルのロビーに向かった。

 

ママとふたりで、緊張した面持ちで、Sを待つ。

座る者をどこか威圧するような黒光りした革張りのソファーが、より麻世を心細くさせた。

 

10分経った。来ない。30分、1時間・・・。

Sは現れない。

ママは時計を見ると、すっくと立ち上がった。

 

「約束を破るような人ではないから」

 

ロビーの隅にあるサーモンピンクの公衆電話で電話を掛ける。

受話器を置くと、麻世の方に笑顔を向け、子どもみたいに無邪気にピースサインをした。

約束の日を一日間違えていたって。申し訳ないから翌日、楽屋にきてくれってさ。

 

翌日、楽屋に行くとSはニコニコと出迎えてくれた。

ふたりはホテルのロビーに場所を移し、コーヒーをすすった。

 

「女優になりたいんです」。

 

Sは麻世の話を時折、うなずきながら熱心に聞いた。

1時間ほど話しただろうか?Sは時計に眼をやり

「もう行かなきゃ、また会いに来なさい」と低い声で言った。

 

麻世はその言葉を信じ、何度かSの楽屋を訪れた。

そして、彼が東京に帰る日が近づいたころ、

 

「もし本気なら連絡しなさい」

 

と事務所の番号と社長の名を書いたメモを渡してくれた。

 

麻世の答えは出ていた。

Sの人柄に魅了されていた。

この人について勉強したい。

 

狭い六畳一間のアパートで、机に向かった。

 

「どうか、私を弟子にしてください」。

 

そうしたためた手紙をポストに入れ、手を合わせてお辞儀をした。

数日後、来た返事は「すぐ東京に来なさい」だった。

 

麻世は、その言葉に小躍りし、東京にすぐにでも飛んでいきたい気持ちを必死で抑えた。

とは言え、私はまだ百貨店の社員だ・・・。

 

時は、11月に入っていた。

自身で決めた3年という勤務期間まで、まだ半年残っている。

でも、そんなことを言っていたらこのチャンスを逃してしまう・・・。

半年先なんてどうなるかわからない・・・。

 

どうする?ワタシ?

 

続く

 

家族編 第1回 第2回

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